経済ニュース(2024年05月29日~06月05日)
米国
- 5月30日:
- 1-3月期実質GDP改定値: 年率換算で前期比+1.3%に下方修正(速報値+1.6%)。個人消費支出の伸びが鈍化したことが主な要因。
- 5月31日:
- 4月個人消費支出(PCE)デフレーター: 総合で前年同月比+2.7%、コア(変動の大きい食品・エネルギーを除く)で同+2.8%となり、いずれも前月と横ばいで高止まり。物価の根強い粘着性を示す結果となった。
- 6月3日:
- 5月ISM製造業景況指数: 48.7と、市場予想(50.0)を下回り、前月(49.2)から悪化。好不況の境目である50を下回り、製造業活動の縮小を示唆。特に、新規受注と雇用の指数が悪化した。
- 6月4日:
- 4月JOLTS(雇用動態調査)求人件数: 805.9万件と、市場予想(837万件)を下回り、2021年2月以来の低水準。労働市場の需給が緩みつつある兆候を示した。
- 6月5日:
- 5月ISM非製造業(サービス業)景況指数: 53.8と、市場予想(50.8)を大幅に上回り、前月(49.4)から改善。サービス業の活動が力強く拡大に転じたことを示す。価格指数も上昇し、インフレ圧力の根強さを示唆した。
日本
- 5月30日:
- 4月鉱工業生産速報値: 前月比+0.9%と、2カ月連続のプラス。自動車生産の回復などが寄与。
- 特段、市場を大きく動かすような主要経済指標の発表はなかった。日銀の金融政策に関する思惑が引き続き焦点。
その他
- 6月5日: カナダ銀行が主要G7国として初めて政策金利を0.25%引き下げ、4.75%とした。
市場動向考察
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金利(米国債利回り)
- 期間前半は、GDP下方修正やPCE高止まりを受け、やや方向感に乏しかった。
- 週明け(6月3日)に発表されたISM製造業PMIの予想外の悪化と、6月4日のJOLTS求人件数の大幅減が労働市場の軟化を示唆し、米連邦準備理事会(FRB)の年内利下げ期待が高まり、米国債利回りは低下(価格は上昇)。特に10年債利回りは4.3%台まで低下した。
- しかし、6月5日に発表されたISM非製造業PMIが予想を大きく上回る好結果となり、特に価格指数が上昇したことで、労働市場の軟化という見方が後退し、利下げ期待が再び後退。米国債利回りは急上昇に転じ、低下分を帳消しにした。市場は依然としてデータ次第でFRBの利下げ見通しを大きく変動させている。
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為替(ドル/円)
- 米国金利動向に強く連動。
- 期間前半は、米PCEの高止まりを受け、ドル高・円安基調が続いた。
- 週明けにISM製造業とJOLTSの結果を受けて米利下げ期待が高まると、米金利低下に伴いドルが売られ、ドル/円は154円台まで下落した。
- しかし、6月5日のISM非製造業PMIの好結果を受けて米金利が急上昇すると、ドル買いが再燃し、ドル/円は156円台半ばまで急反発した。日本の経済指標や日銀関連のニュースに大きな動きがなかったため、米経済指標と米金利動向が主要な決定要因となった。
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株式(米国株、日本株)
- 米国株:
- 期間前半は、経済指標のまちまちの動きや、FRB要人発言を受け、S&P500、NASDAQは堅調を維持。特にAI関連銘柄が引き続き市場を牽引した。
- 週明け(6月3日)にISM製造業PMIの悪化と金利低下を受け、利下げ期待からハイテク株を中心に買われ、NASDAQは史上最高値を更新。
- しかし、6月5日のISM非製造業PMIの好結果が利下げ期待を後退させ、金利が上昇したことで、利益確定売りや成長株への重石となり、主要3指数は下落に転じた。特に金利に敏感なハイテク株が売られた。
- 日本株:
- 米国株や米国金利の動向に左右される展開。
- 期間前半は、円安進行が輸出企業に追い風となる期待感から堅調を維持。
- 週明けの米経済指標悪化で円高に振れた局面ではやや軟調となったが、その後は米国株の動きに連動し、特に6月5日の米株安を受けて日経平均も下落した。
- 米国株:
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ゴールド(金)
- 米ドルと実質金利の動きに強く連動。
- 労働市場の軟化を示唆する経済指標(ISM製造業、JOLTS)発表後は、米金利低下とドル安が進み、金価格は上昇した。
- しかし、6月5日のISM非製造業PMIの好結果で米金利が急上昇し、ドルが買い戻されると、金価格は急落し、上昇分を帳消しにした。地政学的リスクは依然としてくすぶるものの、米金利・ドル動向が短期的な価格変動の主要因となった。
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BTC(ビットコイン)
- リスク資産全般の動きと米金利動向に連動する傾向。
- 期間前半は、米国金利の変動や株式市場の堅調さに伴い、おおむね安定推移。
- 週明けの米経済指標悪化で利下げ期待が高まり、リスクオンムードがやや優勢となると、BTCも堅調に推移し、一時7万ドル台に回復した。
- しかし、6月5日のISM非製造業PMIの好結果とそれに伴う米金利上昇、株式市場の調整を受け、BTCも軟調に転じ、7万ドルを下回る水準まで反落した。半減期後の調整局面が続く中、マクロ経済指標への反応が強まっている。
注意
- 誤った情報を掲載している場合があります。ご了承ください。
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