経済ニュースまとめ(05月28日~06月04日)
米国
* 労働市場の軟化: 6月4日発表の4月JOLTS求人件数が805.9万件と、市場予想(834万件)を大幅に下回り、2021年2月以来の低水準を記録。労働市場の需給が緩和していることを強く示唆した。6月3日発表の5月ISM製造業PMIも48.7と市場予想(49.6)を下回り、製造業活動の縮小継続を示した。これらの指標は、FRBの利下げ開始への期待を高める材料となった。
* インフレ・景気動向: 5月31日発表の4月PCEデフレーターは前月比+0.2%、コアPCEも+0.2%と伸びが鈍化し、インフレ沈静化の兆候を示した。5月30日発表の第1四半期GDP改定値は年率+1.3%と速報値から下方修正された。一方で、5月29日発表の5月製造業PMI(S&Pグローバル)は予想を上回ったものの、5月28日発表の消費者信頼感指数は悪化を示し、景気見通しには強弱が混在している。
日本
* 金融政策の方向性: 6月3日公表の日銀金融政策決定会合の「主な意見」では、追加利上げの可能性を巡り「緩やかなペースでの利上げが適当」との意見と「賃金物価の好循環を確認する必要」との慎重な意見が混在し、6月の利上げ観測を巡る不透明感が残った。6月4日、日銀は国債買い入れオペ(残存5~10年債)で減額を実施したが、市場が期待した大幅な減額ではなく、小幅なものに留まり、急激な金融引き締めへの警戒感は後退した。
* 経済指標: 5月30日発表の4月小売売上高は前年比+2.4%と予想を下回ったが、4月鉱工業生産指数は前月比+0.9%と予想(-0.9%)を上回った。ただし、製造業の見通し指数は慎重な見方を示している。
市場動向考察
金利
* 米国債金利: 4月JOLTS求人件数と5月ISM製造業PMIの軟化を受け、米経済の減速と労働市場の緩和が鮮明になったことで、FRBの利下げ期待が急速に高まった。これにより、米国債金利は全般的に低下し、特に長期金利の下落が顕著だった。市場では年内2回の利下げ観測が再び強まっている。
* 日本国債金利: 日銀の「主な意見」で6月利上げへの不透明感が残り、国債買い入れ減額も小幅だったため、円債市場の急激な上昇圧力は一時的に弱まった。しかし、米金利の大幅な低下に引きずられる形で、日本国債金利も全体的に低下した。日銀の金融政策正常化への姿勢は維持されており、中長期的には上昇圧力が残りやすい。
為替(ドル円)
* ドル円: 米経済指標の軟化、特にJOLTS求人件数の大幅な減少により、FRBの利下げ期待が一段と高まったことでドル安が急速に進行。これを受け、ドル円は大きく円高方向に振れ、一時154円台後半まで下落した。日銀の政策正常化は緩やかなペースになるとの見方が強まったものの、米国の利下げ期待がより強く為替を動かした形。
株式
* 米国株: JOLTS求人件数やISM製造業PMIの軟化は景気減速を示唆するものの、FRBの利下げ期待が強まることで、株式市場にはプラスに作用した。特に、利下げによって資金調達コストが低下し、企業収益への圧力が緩和されるとの見方から、米国株は上昇。テクノロジー株が引き続き相場を牽引した。
* 日本株: 米国株の上昇や円安進行の一服、日銀の政策スタンスがややタカ派に傾きつつも慎重な姿勢を示したことで、日経平均株価は底堅く推移した。ただし、米経済の動向や為替の変動が引き続き日本株の主要な変動要因となっている。
ゴールド
* ゴールド: 米国債金利の低下とドル安が進行したことで、代替投資としてのゴールドの魅力が増し、価格は上昇傾向となった。また、地政学リスクの継続的な高まりもゴールドへの支援材料となっている。
BTC
* BTC: 米国における利下げ期待の高まりは、リスク資産全般にポジティブな影響を与える傾向があり、BTCもその恩恵を受けて上昇基調で推移した。現物ETFへの資金流入が継続していることや、機関投資家の関心の高まりも、BTC価格を支援する要因となっている。
## 注意
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