経済ニュースまとめ(05月21日〜05月28日)
米国
- AI関連株の活況: NVIDIAが5月22日に発表した2024年2-4月期決算は、売上高・利益ともに市場予想を大幅に上回り、データセンター事業が急成長。これを受けてNVIDIA株は時間外取引で一時高騰し、S&P500指数やナスダック総合指数をけん引して過去最高値を更新した。AIブームの持続性を裏付ける結果となった。
- 物価指標の動向: 5月24日に発表された4月の個人消費支出(PCE)物価指数は、総合指数が前月比+0.3%(前年比+2.7%)、変動の大きい食品・エネルギーを除いたコア指数が前月比+0.2%(前年比+2.8%)となり、市場予想通りまたは若干のインフレ鈍化を示唆。FRBの利下げに向けた安心材料として受け止められた。
- FRB要人発言:
- FRBの複数の高官(ボスティック、ウォラー、カシュカリ各総裁など)は、インフレ抑制への慎重な姿勢を崩しておらず、利下げ時期について具体的な言及を避けるか、年内の利下げ回数を限定的とみる見方を示した。一部では利上げの可能性も排除しないタカ派的な議論も浮上(FOMC議事要旨)。
- 経済指標: 5月21日発表の5月S&Pグローバル米国PMI速報値は、製造業・サービス業ともに予想を上回り、経済の堅調さを示した。
日本
- 日銀金融政策に関する発言: 植田日銀総裁は5月28日の国会答弁で、基調的な物価上昇率について「なお2%を下回っている」との見解を示し、直ちに追加利上げに踏み切るには追加的なデータが必要との慎重な姿勢を強調した。円安進行への対応について、為替のみで金融政策を変更するわけではないと改めて説明した。
市場動向考察
金利
- 米国債金利: 週前半は、FOMC議事要旨でのタカ派的議論や堅調なPMIを受けて上昇圧力がかかったものの、週後半に発表されたPCEデフレーターが予想通りの結果となったことで、インフレ加速への懸念が和らぎ、利下げ期待が再燃。結果として、利下げ時期を巡る不透明感とNVIDIA決算後のリスクオンムードが交錯し、週を通してレンジ内での変動が続いた。10年債利回りは概ね4.4%台後半から4.5%台で推移。
- 日本国債金利: 日銀の金融政策の先行きに注目が集まる中、植田総裁の慎重な発言もあり、特段の大きな変動はなかった。米金利や為替の動向に影響を受けつつ、10年債利回りは1.0%台前半で推移した。
為替
- ドル円: 週初は米PMIの堅調さやFRB高官のタカ派発言を受けてドル買いが優勢となり、157円台後半まで上昇。しかし、PCEデフレーターが市場予想通りとなったことや、日本の介入警戒感が意識され、上昇は限定的となった。日銀植田総裁の追加利上げに慎重な発言も円安を支える要因となったが、全体としては156円台後半から157円台前半でのレンジでの推移が続いた。介入警戒感から上値は重いものの、明確なドル安材料に欠け、底堅さも維持。
株式
- 米国株式: NVIDIAの好決算が市場を強く牽引し、AI関連株を中心にテクノロジー株が大幅に上昇。S&P500指数とナスダック総合指数はともに史上最高値を更新し、市場はリスクオンムードに包まれた。PCEデフレーターの落ち着きも、インフレ懸念を和らげ、株価を支援した。NYダウも堅調に推移し、全体的に強い地合いが続いた。
- 日本株式: 米国株の堅調な動きや円安が追い風となり、日経平均株価は一時4万円台を回復する場面もあった。特に半導体関連株が米国市場に追随して上昇した。海外投資家の買いも観測され、市場は活況を呈した。
ゴールド
- 米金利の変動やドル相場の影響を受けつつも、高値圏での推移が続いた。週前半は、リスクオンムードや米金利の上昇を受けてやや軟調な場面もあったが、PCEデフレーター発表後のインフレ懸念後退や、依然として高い地政学リスクを背景とした安全資産としての需要が根強く、底堅さを見せた。
BTC
-
米国株式市場、特にテクノロジー株の堅調な動きに連動し、リスクオン資産として上昇。NVIDIAの決算後の市場全体の楽観的なムードも追い風となった。米国での現物ETFへの資金流入期待も継続しており、一時7万ドル近くまで値を上げる場面もあった。引き続き、機関投資家の動向や規制環境が価格を左右する要因となっている。
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